告死天使
奴と別れた俺は、また、一人で地下鉄の駅へと歩いていた。

陽の光はかげり、見上げる街路樹は色づき始めている。

――去年の今頃は、こんな日が来るとは思わずにいた。

俺は、芸大に受かっていたはずで。
彼女は、夢への一歩を踏み出すそうとしていたはずで。

そのどちらもが、現実にはならなかった。

あんなにも、信じていたのに。
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