告死天使
翌日、予備校。
俺は、講師に進路変更を申し出ていた。

昨日の奴の言葉が、心に残っていた。

…医師〈せんせい〉の言うことをよく聞いて…

彼女が、医師の指示に従わないとは思えない。
――それでも、治療は成功しなかった。

この先どうなるのか、同じ治療を繰り返すのか、知識のない俺には分からないし、誰かに聞くこともできない。

彼女の様子を思い出す。
ただじっとして話しているだけでも辛そうで。

明るく社交的な彼女。
みんなと一緒にいられず、会話することもできないのはどれほど悲しいだろう。

そして、それがいつまで続くのかさえ分からない。

この俺が、何か力〈ちから〉になれることは――?
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