告死天使
「――大丈夫だって。」

俺は、彼女に手を伸ばしていた。
毛布の上から、そっと肩を揺する。

「誰だってさ…病気にはなるじゃん。
 体が完全に良くなったら、
 お母さんも考え直してくれると思う。」

――そう、また歌えるようになったら。
去年の今頃、文化部発表会でそうさせたように。

「…今は、きみに無理させないために、
 そう言ってるんじゃない?」
< 153 / 204 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop