告死天使
21世紀。

子供の頃は、漠然と遠い未来のように感じていた。
心に抱いた夢は、大人になればひとりでに叶っていると疑わなかった。

――今年、俺は20歳になる。

そうなりたいと思った未来には、手を伸ばさなければ届かないと初めて知った。

それだけじゃない、そこに向かって走って走って…全力でジャンプしなければ、指先に触れもしないものだと。

俺は、TVをそこそこに自分の部屋に引きこもった。

想像の中で、あの完成したビルの映像、そのエントランスの前に、元気になった彼女の姿を合成しようとした。
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