告死天使

―2001年・春

―2001年・春。
病室の窓から見える街路樹は、新芽を吹こうとしていた。

だがそれも、窓から下を見下ろす俺に見えるだけで、彼女には見えない。

俺は奴と二人で、受験の報告に来ていた。

奴は、産業大学の自動車学科に入学を決めていた。

「うんと速い車作って、乗せてあげるから。」

そう、ベッドに横たわったままの彼女に言う。
彼女は目を細め、笑ったようだった。
――鼻と口は酸素マスクに覆われていて、自由に会話することはできない。
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