告死天使
葬儀が行われたのは、その2日後だった。

兄貴から借りた着慣れない黒のスーツが、俺をより一層ぎこちなくさせた。

初めて着るスーツ――それが、彼女のための喪服だった。

曇り空の下。
彼女の親族のほかに、俺や奴、軽音楽部の部員とOBで、彼女を知るものが集まった。

花や線香を手向けながら、ほとんどみんな、泣いていた。
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