告死天使
誰もが彼女を褒めちぎった。
俺は、部員の輪の片隅で、控え目に拍手を送っていた。

はたから見れば、そっけない反応と映っただろう。
だが俺は、それしかできないほど驚いていた。

どんな歌でも、彼女は「自分の歌」のように歌うことができた。

歌詞の言葉が、自然と心に届く。
メロディーの起伏が、そのまま心を揺さぶる。

その日から、彼女は俺の一番大好きなアーティストになった。
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