告死天使
舞台のマイクや練習用の楽譜を前にしていない普段の彼女は、よく笑い、時に冗談を言って、場の空気を和ませてくれる存在だった。

それだけじゃない、調子が上がらなかったり、落ち込んでいたりする仲間を、さりげなく励まし、元気づけてくれるような。

彼女には、歌以外にもうひとつ、人の心を和らげる才能があった。

進学校の部活仲間。
成績という競争の中では、互いがライバルだった。

それでも、彼女がバンドにいることで、俺たちはそれ以前よりもずっと、ひとつになれたのだと思う。
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