告死天使
そう、そんな楽しい気持ちで、ここから見えるものを眺めていた。
5年前、このビルで働き始めたころは。
何も焦ったりしていなかった。

…何も、考えてなかったってことだ。

考える?考えない?
そんなことはもう、どうでもいい。
その必要がなくなるのだから。


ダイブする、このビルの谷間に。

CMの間には、すべてが終わっている。


俺はもう一度、視線を靴の先に落とした。

視界を街並みが流れる。
その中で、ちら、と、総合病院の建物が目に留まった。
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