告死天使
俺は、部屋の壁一面の書架を眺めた。

地域別・大学ごとに振り分けられたフォルダの背。

大学ってこんなにあったのか、と思わせるほどの資料の量。

とりあえず、俺は、端から端まで探した。

――これ、かな?

書架のすみに、そのフォルダはあった。

大学の正式な名前は聞かなかった。
でも、この地域で芸大と言えば多分ここだろう。

これを、彼女も手に取ったのだろうか。
――いや、ここに来るまでもなく、そう決めていたのかもしれない。

俺はフォルダを書架から抜き出し、部屋の中央の長机に置いて、椅子に掛けた。
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