告死天使
初めは、誰にも言うつもりはなかった。

でも、彼女には知っていてほしい、そう思うようになった。

本当に「やりたいこと」があるなら、それにチャレンジしない人生なんて嘘だ。

俺が先に芸大に進めば、彼女を引っ張れるかもしれない。
「歌を捧げる」だけじゃなくて。

それに、みんなの前で言うことで、俺ももう頑張るしかなくなる。

「――頑張って下さいね、先輩。
 私、追いかけますから!」

そして、彼女はにっこり笑った。
俺も答えた。

「もちろん。――きみも!」
< 86 / 204 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop