告死天使
軽音楽部の開演・5分前。

俺は、中庭のステージの前にいた。
同じくOBとなった同級生の元部員と、セッティングやチューニングの手際を見守る。

――俺たちが初めて迎えた後輩が、今は最上級生。
それは、頼もしい眺めでもあった。

ボーカルのマイクの向こうには……
――あの彼女がいた。

来年の今頃にはきっと、手の届かない人に――
TVの中の有名人に、なっているだろう彼女。

時間どおりに準備が終わり、生徒会の司会が開演をアナウンスした。
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