グリッタリング・グリーン
「…はい」
「ちょうど、ランチをとる場所を探してたんです、ここはおいしい?」
「はい、自家製パスタが人気で」
「ご一緒しても、いいですか」
誰が嫌と言えるだろう。
純白のシフォンのブラウスを、黒いスカートにしゅっと入れた、シンプルな装いなのに、目が行ってしまう。
ペースを合わせようかとフォークを置くと、すかさず彼女が、気にせずどうぞ、と促した。
「お仕事だったんですか」
「ええ、日本にはそう長く滞在しないので、いる間にいろいろと、回りたいところもあって」
長い髪を背中に払いのけて、運ばれてきたラビオリをフォークでつつき、眉を上げる。
ひとつ口にいれると、喉の奥で、満足げな声をあげた。
合間に水を飲みながら、小さくあくびをする姿まで、いちいちセクシーで参る。
「ごめんなさいね、寝不足で」
「お忙しそうですもんね」
「ここのところ毎晩、葉と遅くまで打ち合わせするものだから。妥協を知らないのも困りものね」
反応を確認された気がした。
「熱中してる時は、寝なくても食べなくても平気になっちゃうのよね、彼。だから誰かが気をつけてあげないと」
何も言えない。
あからさますぎたと思ったのか、エマさんはすぐに話題を変えた。
「新しい仕事の話、葉から聞きました?」
「…葉さんは、他のお仕事のお話は、されないので」
「どんどん面白くなってきてるのよ、葉を使うとわかったら、一度断られていた映像監督が、やると言ってきたの」
おかげでめちゃくちゃ、と楽しそうに笑う。
「彼が葉を気に入ってね、CMで、作品だけじゃなく、葉自身を撮りたいって言いだしてるの、葉にはまだ伝えてないけど」
えっ。