グリッタリング・グリーン
「新しいご案内状です、こちらで試写会後のカクテルパーティにもご出席いただけますので」
「ありがとう! この子も入れる?」
「もちろんです、お楽しみください」
だってさ、と私を見た葉さんに、よかったあ! と半分本心ではしゃいでみる。
「もうお一組の方と、近いお席をご用意しましょうか?」
「ううん、あとで驚かせたいから、むしろ離して」
「かしこまりました、係の者がご案内いたします」
どうぞ、と促された先では、スーツの男性が、劇場への重たいドアを開けて待っていてくれた。
くすくす笑って見送ってくれる女性に、ありがと、と無邪気に手を振りながら、葉さんが私の肩を抱いて劇場に入る。
すぐ入口横の席を案内され、ドアが閉まると同時に、館内が暗くなった。
間に合った、とふたりで安堵の息をつく。
「役者ですね」
「生方もね、ところでこれ、なんの映画?」
「恋愛ものみたいですよ」
入口で手渡された簡単なパンフレットを、スクリーンの明かりの中で裏表させていたら、葉さんが、げっと小さく声をあげた。
「どうかしましたか」
「まずい、出よう」
「えっ?」
せっかく入れてもらったのに?
わけがわからず、困惑する。
「だって」と戸口のほうを気にしながら、葉さんが早口にささやいた。
「これ、すげえエッチなやつだよ、本国で15禁だったのを、日本の配給会社が18禁にして話題になってたの、知らないの?」
ええっ!? と思わず声を出しかけて、しーっと口をふさがれる。
暗がりでもわかるほど葉さんの顔は赤く、そして私も相当、赤いに違いない。