グリッタリング・グリーン
よね? とエマさんが振り仰いだ先には、水の入ったグラスを持った葉さんが、戸口にもたれるように立っていた。
水滴の光るグラスを、ちらりと舐めて、笑う。
「うん」
笑みを残した目が、居心地が悪くなるほど、じっと私を見つめた。
見透かすような、奇妙に据わった目。
やがて葉さんは、歩いてくる、と言って、ふいっと姿を消してしまった。
知らないうちに、息を詰めていたことに気づいた。
なんだろう、今の。
葉さんじゃ、ないみたい。
「急にエンジンがかかっちゃったみたいね」
エマさんが肩をすくめた。
「どこへ行ったんでしょう…」
「熱を冷ましてるのよ、特別なヤマを前にすると、いつもああなるの、興奮しすぎて、自分を抑えられないのよ」
葉さんが?
あの、いつも温度の低い、ぼんやりした空気をまとった人が?
エマさんが、机いっぱいに広げた資料に書きこみをしながら、口の端を上げた。
「あれが葉よ」
知らなかったの? と問われてる気がした。
知らなかった、これっぽっちも。
あんな、ぎらぎらした、抜き身みたいな葉さん。
瞳が、昂りに光ってた。
あれが…葉さん。
身体の奥に、火が灯ったようになって、椅子の上で身じろぎする私を。
エマさんが、くすりと笑った。
水滴の光るグラスを、ちらりと舐めて、笑う。
「うん」
笑みを残した目が、居心地が悪くなるほど、じっと私を見つめた。
見透かすような、奇妙に据わった目。
やがて葉さんは、歩いてくる、と言って、ふいっと姿を消してしまった。
知らないうちに、息を詰めていたことに気づいた。
なんだろう、今の。
葉さんじゃ、ないみたい。
「急にエンジンがかかっちゃったみたいね」
エマさんが肩をすくめた。
「どこへ行ったんでしょう…」
「熱を冷ましてるのよ、特別なヤマを前にすると、いつもああなるの、興奮しすぎて、自分を抑えられないのよ」
葉さんが?
あの、いつも温度の低い、ぼんやりした空気をまとった人が?
エマさんが、机いっぱいに広げた資料に書きこみをしながら、口の端を上げた。
「あれが葉よ」
知らなかったの? と問われてる気がした。
知らなかった、これっぽっちも。
あんな、ぎらぎらした、抜き身みたいな葉さん。
瞳が、昂りに光ってた。
あれが…葉さん。
身体の奥に、火が灯ったようになって、椅子の上で身じろぎする私を。
エマさんが、くすりと笑った。