グリッタリング・グリーン
「あの、好きか嫌いかで言ったら、ええっと、好きです」
はっきりしないうえに、ずるい。
最悪の返事だってことくらい、自分でもわかった。
葉さんの眉根が訝るように寄って、不穏な低い声を出す。
「それは、抱かせてって言ったら抱かせてくれるくらいの、好き?」
「抱か…」
何も言えなくなって口をぱくぱくさせる私に、いよいよ本気で不機嫌になりだした葉さんが、きつい視線を投げた。
小学生じゃないんだからさあ、と苛立たしげな声をあげる。
「男が好きって言ったら、そういうのも込みだってことくらいわかんだろ、思わせぶりなこと、すんなよ」
「そ、そんなつもり、それに、私」
「じゃあどんなつもりだったんだよ、俺が期待するって、考えなかったわけ?」
「私は、ただ、だって」
「俺のことどう思ってるか、これまで考えてもこなかったってわけ?」
たて続けに責められて。
しかもその言いぶんは、ある一点を除けば、ことごとく正しくて。
けどその一点のせいで、ついに私も爆発した。
「だって私、一度も葉さんに好きなんて言われてない!」
自分の叫び声が震えているのがわかった。
私はプレゼントを握りしめながらわなわなと、白い息を吐いていた。
葉さんは突然の私の剣幕にびっくりしたらしく、きょとんとしたものの、すぐに仏頂面に戻る。
「気づいてもなかったって言いたいの」
「言われてないって言ってるんです」
「そこ大事? じゃあ俺が生方をどう思ってると思ってたの」