その体温に包まれたい
「まーた、残ってんの?」
突然聞こえた声に、バッと勢いよく後ろを振り返った。
思いがけなくそこにいたのはいつものやわらかな笑みを浮かべる、“彼”。
「あ……っ」
「寒がりなんだから、無駄に気なんか遣ってないで暖房つければいいのに。ばかだなあ」
私のすぐそばまで近付くと、彼はこちらを覗き込んでくる。
その整った顔を直視できなくて、ぷいっと視線を逸らした。
「う……うるさいな。ほっといてよ」
「意地っぱり。そういうところもかわいいけど」
彼の甘い言葉で、心拍数が上がるとともにふわりと頬に熱がともる。
けれども『うれしい』と表情に出してしまうのもシャクなので、私はわざと不機嫌な顔をして見せた。
去年の4月に入社した私とその冬にやって来た彼は、いわば同期といえる間柄だ。
あまのじゃくで意地っぱりな私は、いつも素直になれないけれど。
本当は彼と話すたび、そのやわらかい笑顔とあたたかい人柄に癒されている。
突然聞こえた声に、バッと勢いよく後ろを振り返った。
思いがけなくそこにいたのはいつものやわらかな笑みを浮かべる、“彼”。
「あ……っ」
「寒がりなんだから、無駄に気なんか遣ってないで暖房つければいいのに。ばかだなあ」
私のすぐそばまで近付くと、彼はこちらを覗き込んでくる。
その整った顔を直視できなくて、ぷいっと視線を逸らした。
「う……うるさいな。ほっといてよ」
「意地っぱり。そういうところもかわいいけど」
彼の甘い言葉で、心拍数が上がるとともにふわりと頬に熱がともる。
けれども『うれしい』と表情に出してしまうのもシャクなので、私はわざと不機嫌な顔をして見せた。
去年の4月に入社した私とその冬にやって来た彼は、いわば同期といえる間柄だ。
あまのじゃくで意地っぱりな私は、いつも素直になれないけれど。
本当は彼と話すたび、そのやわらかい笑顔とあたたかい人柄に癒されている。