寂しがり屋のプリンス
「ねぇ、皆仕事してるんだよ。プリンスに拗ねられるの困るの」
「困るんなら、機嫌取れよ。調子悪いのはホント。なんか腹いてぇんだ」
「病人なら病人らしくしなよ。上からの態度でくるから気に入らないのよ」
「なんと言われようと、お前が見てくれなきゃ動かないからな」
全くわがままボーズめ。
自分の価値を分かってやっていやがるわ。
昔、プリンスが初めて調子を崩した時、助けたのが私だ。
お腹を壊したらしくて、彼の吐瀉物で書類は汚れてた。
それを全部片付けて彼の看病をしてから、機嫌を損ねた彼を直すのはすっかり私の役目になってしまった。
「仕方ないな。見せて」
彼の体をくまなく見分する。
頭皮が硬いなー。考えることいっぱいでちゃんと寝れてないんじゃないかしら。
「一度考えてること忘れなさいよ。頭痛くなるでしょ」
「ふん」
拗ねた口調をしつつ、彼は目を閉じ私に言われたとおりにする。
熱はない。
やっぱりお腹かな。胃腸弱いんだよなぁ。
「プリンス君、ご飯、慌てて食べた?」
「茉莉がくれなかったから」
「だって私、お昼外出してたもん」
「茉莉が良かったのに。なんでいないんだよ」
子供みたいな拗ね方に、むしろ可笑しくなってきた。
いつまでたっても甘えん坊のプリンス。
そんなんじゃ皆から愛想つかされちゃうよ?