オレンジジュースとアイスコーヒー
「あたしより、もっといい人がいると思うよ?」
「それはそうかもしれないけど。僕が好きなのは、空井さんだから」
堂々と言い切る佐久真は、とてもかっこよかった。ああ、もっと早く気づいていれば良かったけど、気づけて良かった。
「……ごめん。あたしも、別れたくない」
あたしが言い出したのに、ごめんね。謝ると、佐久真は嬉しそうに頭を振った。
その嬉しそうな顔につられて、口元が上がる。涙の乾いた肌が少し突っ張った。
「良かったー」
佐久真は心底ホッとした、という顔をしたかと思うと、あたしの頭にポンと手を置いた。
心臓が、どきんと脈を打つ。
やっと、ちゃんと佐久真と付き合えた感じがする。もう、上から目線の付き合ってあげているだなんて思わない。
今までの悪かったところも反省してる。
「あ、」
「どうした?」
もう関係ないと思ってたけど、まだ関係を続けていけるのなら。彼氏彼女みたいに、名前で呼びたいし、呼ばれたい。