オレンジジュースとアイスコーヒー


「冬和」

「え、な、何?」


そこはすぐに理解してほしいところなんだけど。言わなくても、何となくわかってよ。


……けど、まあ。言葉にしないとかな。わかってよ、と一方的に押し付けるのは間違いだってわかったし。

佐久真──冬和の考えていることだって、言わなくてもわかりそうなことなのに言われないと気づけなかったんだもの。


「冬和って呼びたい。あたしも、月歌(るか)って呼ばれたいよ」


言ってみたものの、何だか恥ずかしくて、冬和の瞳を見れなかった。何なのこれは、初恋じゃあるまいし。


「じゃあ、うん。月歌……って、何か恥ずかしいね」

「うん。恥ずかしいね。でも、きっと何回も呼んでるうちに慣れるよ」

「……そうだね。そうやって、言いたいこと、ちゃんと言い合おうね」


うん、そうだね。そうしよう。うなずけば、冬和ははにかんだような笑顔を見せた。


「それで、言いたいことっていうか、お願いがあるんだけど」

「ん?」


散々渋ったくせに、大変図々しいことではあるんだけど……。


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