オレンジジュースとアイスコーヒー


ステージに立つ冬和は、とても堂々としている。人が変わるってほどではないけど、でもいつもとは違う。


「……こんばんは。『Midwinter』です。今日参加できたことを、とても嬉しく思っています。えー、短い時間ではありますが、楽しんでいただけたらと思います」


冬和だけに当てられた照明が消えて、ギターの音が聴こえ始める。

演奏に合わせて踊るようにカラフルな照明がついたり消えたり。綺麗だと思った。


そして、冬和の声。前の女の子たちがハッとしたのがわかって、心の中でガッツポーズをした。ひとりでするのは恥ずかしかったから、心の中で。


いい声だなあ、さすが冬和。スタジオ練習もあって、バイトもしていて。ここのところすごく頑張ってた。

この澄んだ声は、冬和の努力の賜物。あたしの大好きな声だ。

オリジナルの歌詞と曲、どちらもはっきりと耳に入ってくる。歌詞は冬和で、曲はベースの人が担当らしい。

完全に色眼鏡で見ているけど、すっごくいい。


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