オレンジジュースとアイスコーヒー
「改めてお疲れ様。そういえば、この後何かあったりしなかったの? あたしと帰っちゃって良かった?」
「うん。大学生とは違ってお酒飲めるわけでもないし。打ち上げするお金がもったいないから。終わったら解散だったよ」
駅のホームのベンチに腰をおろして、電車を待つ。ライブが全部終わるのを待って、冬和と一緒に帰ることにした。
まだ短い日はすっかり暮れて、暗い。三日月が紺色の空にぽつんと浮かんでいる。
春とはいっても、夜はまだ肌寒さが残る。だからほんとはあったかいものが飲みたいところだけど、まあ、いいか。
まだ電車は来そうにないので、立ち上がって振り返った。
「ちょっと待ってて」
近くの自販機で、あたしのお気に入りを探す。最近自販機で見かけなくなったけど、ここはあった。
冬和のは探さなくても色んな種類がある。いつも色んなのを飲んでる気がするから、適当にあたしがCMでよく見かけるものを選んだ。
帰りにご飯食べて行こうかと思ったけど、そしたら家に着くのが遅くなっちゃうから。