オレンジジュースとアイスコーヒー
ここで言うべきなのかな。でも、今はとても言えそうにない。
佐久真を見ていると、だんだんと深刻そうな表情になっていく。もしかしたら、佐久真もあたしと同じこと思って──、
「メロンパン食べないかなと思って」
「……は?」
何で『メロンパン』なんて単語が、口から出てくるの。それも、そんな真剣な顔して。
呆気にとられるあたしに気づいていないらしい佐久真は「すぐそこにあるんだけど」と、指を差す。
「やっぱ、メロンパンとか好きじゃないかな? ほら、僕空井さんの好きな食べ物とかあんま知らないし、おすすめしたかったんだけど……どうかな?」
「佐久真ってさ、」
何なの。バカなの?
「え、うん?」
「そんな、かわいかったっけ」
「いやもとからかわいくはないと思うけど……」
笑ってしまった。こっちはもっと深刻だっていうのに、おすすめしたかったことに悩んでいたなんて。
かわいいよ、佐久真。だから、もっと他の人といたほうがいい。
付き合ってあげたなんてとんでもない。あたしのほうが、佐久真と釣り合ってないよ。