僕を美味しく召し上がれ。
 
「どう? 美味しい?」

「……うん」

「ふはっ、良かった」


そう言って笑ってくれる彼の笑顔が好きだから。

一生懸命に私を甘やかそうとしてくれる彼の健気さが、たまらなく可愛いから。


「……ね、もうちょっと食べてもいい?」

「もっといっぱい食べていいよ」


こんなにも甘美な誘いに抗うなんて無理だ。

煽られるままに彼に軽く歯を立てると、むず痒そうに身をよじりながらクスリと笑われる。

そんなところも全部好き。


「クリスマスはもっと食べてくれるんでしょ?」

「もちろんそのつもり。……でも、今日みたいに残業にならなきゃいいんだけど」

「ふふ、そのときは誰もいないオフィスで僕をいっぱい食べてくれたらいいじゃん。いつも、ついつい頑張り過ぎちゃう里桜ちゃんのためなら、僕はどこにでも食べられに行くよ」

「……うん」


ほんと彼は食わせ上手だ。

これじゃあ、いつになったら満足にダイエットが成功することか、先が思いやられる。

でもやっぱり、私は彼が好きだ。


「お願い、もっと食べさせて」


そう言うと、彼は素直に私に体を差し出した。










擬人化*彼は【お菓子(チョコレート)】

- END -
 
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