いいじゃん、俺の彼女になれば。
そう思う間もなく、あたしは、ぴょんと横に飛びのいた。



だって……



こんなモテる人と一緒にいるところを女子に見られたら、なにを言われるかわからないから。



どうしよう……。



そう思ったら、それまであふれていた涙だって、一瞬でピタッと止まった。



体をギュッと固くして……。



毛を逆立てたネコみたいな臨戦態勢に入る。



南くんに話しかけられるのは、あたしにとってそのぐらいの恐怖だったのに……。

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