仮氏
気付けばもう、深夜3時になっていた。
お互い明日があるからということで帰ることになった。
私の家の近くまで送ってもらうと、

「じゃあね」

と彼は言って、キスをした。
思わず目を伏せる私を見て彼は頭をぽんぽんと撫でた。

「気をつけて帰るんだよ」

「うん」

車を降りて、手を振った。
彼の車が小さくなるまで見送った。
それがなんだかくすぐったかった。

『今日はありがとう。ちゃんと休むんだよ！』

しばらくして、彼からそうメールが来ていた。

『時間が経つのが早かったね！今日はありがとう！おやすみなさい(^^)』

と私は返事をした。

きっと少し私にお酒が入ってたから、あんなことになっただけ。
恋人でもなんでもない人とキスのひとつやふたつ、誰だってしたことあるだろうし。
私はそう思った。
そして、それ以上深く考えることもしなかった。
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