仮氏
目が覚めれば、またいつもと変わらない1日が始まる。
ただ、そんな毎日に少しだけ変化があった。
彼からの連絡。
メールだったり、電話だったり。
その変化は、私の日常にほんの少しだけ彩りをくれた。
だけど素直じゃない私は彼にとってヤレそうなセフレ候補の1人だろうと思っていたから、彼からの連絡で一喜一憂するようなことはなかった。

「あのさ、いい加減会いたいんだけど」

それはいつも突然だった。

「は?もう23時だよ?」

「莉音は会いたくないの?」

「そんなこと言ってないじゃん」

「いいよ、別に莉音が会いたくないなら」

「だからそんなこと言ってないよ」

「会いたい?」

「は?」

「会いたいかって聞いてんの」

「もぉ…。ズルい」

「会う?会いたい?」

「…うん。あ、だけど私スッピン」

「別に俺は気にしないよ?待ち合わせどこにしよう」

「あ、この間車出してもらったから私が出すよ」

「まじ?じゃあ、国道沿いのファミレスわかる?あそこまで来て」

「ん、わかった」

私は急いで着替えると車を走らせた。
< 14 / 138 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop