仮氏
言われた通りファミレスに着くと彼は立っていた。
私の乗る車を見つけると、彼は助手席に滑り込んできた。

「女の子にしてはずいぶんデカイ車乗ってるね」

「小さい車苦手なの」

「まーその気持ちわかる」

「とりあえずテキトーに走るよ」

「りょーかい」

私は当てもなく車を走らせた。
車内では初めて付き合ったのはいくつの頃だとか、他愛もない話をした。
私は自分のことを話すのがあまり得意な方ではなかったから、いろいろ聞いてくれる彼で助かった。
じゃなければ今頃無言だったかもしれない。
彼も私が聞いたことにはきちんと返してくれた。
知らなかった彼のことをだんだん知っていくのは悪くなかった。

「莉音はさ、結婚とか意識したことないの?」

彼の発言にそれまですらすら答えていた私の口が閉まってしまった。
言っていいものか、悩む。少し考えた後、私は答えた。
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