仮氏
「ちょっと!書類のこの部分間違ってる。すぐやり直してもらえる?」
「すいませぇぇん」
「いや、謝る前に手を動かしてもらえる?」
しかし、後輩はちらちら時計を気にしている。
「…。何か予定でもあるの?」
「実はこの後彼氏とデートで。久しぶりなんですぅ」
涙目で訴える後輩。
(デートねぇ…)
「それならしょうがないか…、私が直しておくからデータ送っておいて」
溜め息が、知らないうちに漏れる。
仕事くらいきちんとやれよ、と。
後輩はすみません、すみませんと繰り返しながら17時になるとさっさと事務所を後にした。
(何してんだろ、あたし。)
そう思いながらひと息つくと、後輩のミスした仕事を終わらせて応接室を軽く片付けてから事務所を出た。
時計を見ると、18時半。
(どこか寄り道して帰るか、まっすぐ帰るかどうしよう…)
ちょっと前なら友達に連絡してごはんに行くこともできた。
だけど、今はだいたいの友達が結婚をしてしまったので簡単に声を掛けづらくなった。
なんだかなーと、たまに思う。
中にはもう子供が2人もいて、すっかり母親してる子もいる。
もちろんすごいことだと思う。
だけど、既婚者には既婚者しかわからない話があって、さらに言ってしまうと母親にならないとわからない話がある。
こうやって知らないうちに隙間というか境界線みたいなものができていくのが、悲しいような、さみしいような、そんな気持ちがたまにする。
「すいませぇぇん」
「いや、謝る前に手を動かしてもらえる?」
しかし、後輩はちらちら時計を気にしている。
「…。何か予定でもあるの?」
「実はこの後彼氏とデートで。久しぶりなんですぅ」
涙目で訴える後輩。
(デートねぇ…)
「それならしょうがないか…、私が直しておくからデータ送っておいて」
溜め息が、知らないうちに漏れる。
仕事くらいきちんとやれよ、と。
後輩はすみません、すみませんと繰り返しながら17時になるとさっさと事務所を後にした。
(何してんだろ、あたし。)
そう思いながらひと息つくと、後輩のミスした仕事を終わらせて応接室を軽く片付けてから事務所を出た。
時計を見ると、18時半。
(どこか寄り道して帰るか、まっすぐ帰るかどうしよう…)
ちょっと前なら友達に連絡してごはんに行くこともできた。
だけど、今はだいたいの友達が結婚をしてしまったので簡単に声を掛けづらくなった。
なんだかなーと、たまに思う。
中にはもう子供が2人もいて、すっかり母親してる子もいる。
もちろんすごいことだと思う。
だけど、既婚者には既婚者しかわからない話があって、さらに言ってしまうと母親にならないとわからない話がある。
こうやって知らないうちに隙間というか境界線みたいなものができていくのが、悲しいような、さみしいような、そんな気持ちがたまにする。