待ち合わせは校舎裏で。


不意討ちに可愛い、なんて言われてドキッとしてしまう。


「え、っと…。あの、」


「あ、名前言ってなかったね。俺は累加 朝陽(るいか あさひ)!よろしく!」


タレ目だけど、笑うと凄く元気に見える。いや、笑ってないときが元気に見えない訳じゃないけど。


「真田、音希です…。」


小さな声になってしまった。初対面なのに、凄く失礼だなぁ…。自分が情けない。


「おとねちゃん?なんて漢字なの?」


「えっと、音に希望の希で音希です、」


一番分かりやすいと思う漢字で説明する。私は、自分の名前が嫌いで、嫌いで、嫌いで…。ギュッと拳をつくった。


「へー!可愛いね!」


「え、」


思わず、驚いて声が出る。可愛い、?この名前が?


「俺、音希ちゃんの名前好きだよ!」


まるで、心を見透かされた感覚になった。だけどそれ以上に好きだと言われたことに嬉しさが込み上げていた。


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