“I’m in your corner.”
君ってさ、決まって朝はコーヒーで、残業のときはなぜか緑茶なんだよね。

疲れているとは甘い飲み物って気もするけど……まあいいか。

君が少しでも元気になれるのなら――。

「あれ? なんだ、まだ残っていたのか?」

「か、課長っ」

これはまた、絶妙なタイミングで……。彼女の“元気の素”のご登場だ。

「他の連中はもう?」

「はい。私だけです」

こらこら、僕も給湯室に控えているんですがね。

「君が今やってるそれ、まだかかりそうか?」

「そうですね……あと三、四十分というところでしょうか」

「じゃあ、俺も仲間に入れてくれないか。やっつけておきたい作業が少し残っているんだ」

本当か? それ、週明けにまわせる作業じゃないのか? なーんて野暮なことを言うのはよしておこう。

だって、君が――嬉しそうだから。

「あ、私ちょうどお茶でも飲もうかと思っていたんですが。課長も何か――」

「そうか、だったら……いや、いい」

「え?」

「いいんだ。いいから、君はそのまま作業を続けていなさい」

「えっと、あの……」

あ、戸惑ってる戸惑ってる。

不安げな表情でおろおろする君もまた可愛いかったりするんだよねぇ。

え? 僕って意地悪? まあいいよ、なんとでも言いたまえ。

「俺が淹れてくるから」

「ええっ。そんなことダメですよっ。私が淹れますからっっ」

「そうしたいんだ、俺が」

「え?」

「いつも淹れてもらってばかりだからな。たまにはいいだろ?」

「課長……」

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