見えない騎士たち【ぎじプリ】

 見覚えがないであろう、ラッピングされた箱。――莉子の想いの結晶。

 手に取った課長は、挟まれたカードに気づき、それを開いた。

 莉子のメッセージに目を通すと、彼は即刻立ち上がる。

 PCもプリ男も電源を入れっぱなしで、コートと財布だけを掴み、課長は走り出した。

 ついさっき、部屋を出て行ったばかりの彼女を追いかけて――


『はぁ……』

 俺は連日、夜中に練習していた技が、初めて成功したことに心から安堵した。

『よくやったな、デスク。本当に出来ると思ってなかった』

『バカ言うな、プリ男。――莉子のためなら、なんでも出来るさ』

『ふーん……そっか』

『そうだよ』


 2人がどうなるのかは分からないけど。

 どうか、かわいくてたまらない、あの笑顔が戻りますように。

 俺とプリ男は、そう切に願った。
< 8 / 9 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop