見えない騎士たち【ぎじプリ】
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後日の朝――
莉子はなぜか頬が上気し、ぼんやりしているのに蕩けそうな表情をしながら出勤してきた。
『一体、莉子に何があった』
『あーこれって、もしかして……』
俺の前に来ると、莉子はボーッとして何かを思い出し、突然顔を真っ赤に染めて首を振ったかと思えば、またボーッとすることを繰り返した。
――ふつふつと、俺の中で何かが煮え立つのを感じる。
『あーあ……莉子ちゃんが幸せなのはいいんだけどさぁ~』
『ムカつくな……アイツ』
『うん。それ、さすがに僕も気持ち分かるかも』
こうなってしまってから俺に出来たことといえば。
ヤツが開けようとした引き出しを動かさないこと。
あとは、繰り返し『ゲッ、ゲッ、ガガガ』と言いながら排紙を詰まらせ、課長の仕事を滞らせるプリ男を、見て見ぬフリすることくらいだ。
『やり過ぎて、交換されないように気をつけろよ』
そう声をかけたら、プリ男は得意げに答えた。
『分かってる。莉子ちゃんと会えなくなるのはヤダからね。ちゃんとギリギリの線を狙うよ』
――この男がもし、莉子を不幸にするようなことがあったら。
その時は、俺たちが絶対に許さないからな!
- End -
【擬人化】: 経理課長のデスクとプリンター