史上最悪!?な彼と溺甘オフィス
トイレを済ませ、軽くフェイスパウダーとグロスを塗り直してから化粧室の扉を開けた。

爽やか君、どうしよう。

香奈美なら絶対行けって言うだろうな。


けどなー、


「私の方が年収高いんだもん」


最初に交換した名刺によると、彼の勤務先は中堅の食品メーカー。
手堅い良い会社だと思うけど、よほど出世しない限りは大した年収にはならないだろうと判断した。

よって、私にとって爽やか君は0点だ。

顔とか趣味とか性格とかそんなものはどうだっていい。

そんなもの必要ない。


「さっきの消耗品男をどうこう言えないのよね、私も」


「そうだな」


へ?

独り言のつもりで呟いたのに返事が返ってきたことに驚き、慌てて顔をあげる。

背の高い男が濡れた上着を抱えて、立っていた。

あぁ、消耗品男か。 彼女に水をかけられたから着替えにきたのね・・・


ん? んんーー!?


「すぐ真後にいたのに、全然気づかないんだな」


「う、そ。 き、霧島さん??」
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