史上最悪!?な彼と溺甘オフィス
「男をお金で選んだらダメなんですか!? 見た目が好みとか優しいとか真面目だとか、結局は全部自分に取ってのメリットを考えてますよね?」

私は霧島さんが会社の同僚だと言うことも忘れ、うっかり本音をぶちまけてしまった。


「まぁ、その通りだな。
顔も性格も変わるけど、金は裏切らない。俺が女でもそうするよ」


「そうですよね!? 合理的に考えたら、そうなりますよね!」

合コンから引き続き飲んでるから、若干酔いがまわってるんだろうか。


「ま、最悪の女だとは思うけど」


「最低な男には言われたくないです」


霧島さんはくっくっと声を立てて笑った。

この人のこんな素直な笑顔は滅多に見れるもんじゃ無さそうだ。


「今日は厄日かと思ってたけど、面白い事もあったからまぁよしとするか。

美人で仕事も出来て性格もいいなんてつまんねー女だなって思ってたけど、面白いじゃん、お前」


「・・・・」


「女はさ、毒がある方が絶対に魅力的」

毒しかないような男はそう言って、片目をつぶって魅力的な笑顔を見せた。

「私は男に毒は求めません」

「・・求めるのは金だけ?」

「そうです。 男はお金です」

「ははっ。いいね、潔くて」


霧島さんは、性格以外パーフェクト男という評判通りの人だった。


私は評判とは真逆の最悪の女。

私達は案外似た者同士なのかも知れないな。


想定外の夜だったけど、この日飲んだシャンパンはとても美味しかった。
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