史上最悪!?な彼と溺甘オフィス
2章 冷たい唇に溺れて
「森口さん。ラムウェアズの契約書作成してあるから法務部への確認お願いできるかな? 」

「了解です。 今週中で間に合いますか?」

「うん、来週の定例会議までにOK出てれば大丈夫」

「はーい!
てゆうか、ラムウェアズって路面店しか出さない主義だと思ってたのに誘致成功したんですね。 すごーい!!」


森口さんは事務職の女の子で、主に契約書作成や経理処理なんかを担当してくれている。
入社2年目、メイクとネイルが趣味でぱっと見は女子大生にしか見えないけど・・・意外や意外、仕事は要領がよくてミスも少ない。


「霧島さんが前職で先方の社長と付き合いがあってね、そのコネをフル活用して口説き落としたのよ」

ラムウェアズは青山と銀座に路面店を持つインテリアショップで、商業施設内には出店しない主義で知られていた。

それを口説き落としたとあって、社内における霧島さんの株価はますます高騰している。


「へ〜。さすが霧島さん!!

近くで見てもホントにイケメンだし、私同期の子達に妬まれちゃって大変なんですよー」

森口さんは可愛らしく溜息をつくと、ふと何かを思いついたようにぱっと顔を輝かせた。

「そーだ! 佐倉さん、霧島さんを飲み会に誘ってくれませんか!?
同期にうるさく頼まれて困ってるんですけど、気軽に誘えるほど私、霧島さんと親しくないですし」


「え〜!? 私だって気軽に誘えるような仲じゃないよ」

そもそも、飲みに誘うなって牽制されてるしなー。

「そこを何とか!!」

森口さんに拝み倒され、聞いてみるだけとしぶしぶ約束させられてしまった。

聞いてみるだけでも気が重い・・・。
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