史上最悪!?な彼と溺甘オフィス
「あ、美味しいですね。ここの焼鳥」

オシャレでも高級でもない庶民的な居酒屋だけど、料理はどれも美味しいしお酒も種類が豊富だった。

「だろ」

霧島さんは日本酒、私は烏龍ハイを頼んだ。

「ていうか、霧島さんもこういう普通のお店行くんですね。
オシャレなフレンチとかホテルのバーとかしか行かない人かと思ってました」


「やらしてくれる女なら連れてくけどね、フレンチでもイタリアンでも」


「綺麗な顔して身も蓋もない事言うのやめてください」





「お待たせしました〜。モツ煮込みです」


若い大学生くらいの店員さんが元気よくモツ煮込みを運んできてくれた。


「わ〜、美味しそう」


金曜日の解放感からか私はいつもよりペースよくグラスを空けていった。
霧島さんは私よりずっと早いペースだったけど、相当酒に強いのか顔色は一切変わっていない。


ふと、霧島さんが私のバッグに目をとめた。

ブラウンの革のノーブランドのものだ。


「佐倉はブランド品興味ないの? あんまり持ってないよな」

「すみません。仕事柄オシャレしなきゃとは思うんですけど、ブランド品はなんかもったいなくて」


不動産会社だけど、うちの部はアパレルやジュエリーなんかの会社との付き合いが多いからみんなオシャレだ。

霧島さんもわかりやすいロゴの入ったような物は身につけてないけど、上質ないいブランドのものを選んでいる。
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