史上最悪!?な彼と溺甘オフィス
「はい、どうぞ」

テーブルの上には焼き鮭、筑前煮、大根と水菜のサラダ、お味噌汁が並べられた。

「うわっ。これはたしかに普通の女子より上手ですね」

「だからそう言ったじゃん」

霧島さんはさらりと言うと味噌汁に口をつけた。

食べる仕草も綺麗で、育ちの良さを感じる。

私もいただきますと言って、筑前煮に箸を伸ばす。

「・・・お、美味しいっ!!
何ですか、これ。 お店より美味しいですよ〜」

「そりゃ、よかった。 好きなだけ食えよ」

「はい。 ありがたくいただきます」


お味噌汁もだしがしっかりしていて、美味しい。
具の切り方もきちんとしていて、プロみたいだ。

「霧島さんて料理人でも目指してたんですか? 素人とは思えないですけど」

「いや・・・母親が料理の出来ない人だったから、俺がやってた」


この時、霧島さんの顔が少し曇ったことに私は全く気がついていなかった。

「なんか意外ですね。
今でもご両親に作ってあげたりするんですか?」


「今は・・・最近はあんまり実家帰れないからな。 それよりさーー」


話題は仕事の話にうつって、霧島さんの家族の話はそれ以上聞けなかった。
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