史上最悪!?な彼と溺甘オフィス
「飲めよ」

パーテーションで区切られただけの打ち合わせスペースに霧島さんと二人きり。

私の目の前には熱いブラックコーヒーが置かれた。


「・・いただきます」

ブラックコーヒーの苦味は頭をすっきりさせてくれたけど、だからと言ってやっぱり諦められなかった。


「佐倉があんなに熱くなるタイプだとは思わなかったな。どちらかというと、課長と同じ意見かと思ったけど」

霧島さんはチラリと横目に私を見る。
何だか楽しそうな顔をしてるのは気のせいだろうか。


「そりゃ、私だって新入社員じゃないですから仕事を進める上で妥協すべきところもあるのはわかってます。

けど、絶対妥協しちゃいけないところだってあると思うんですけど」

私はなぜか喧嘩腰だ。


「今回は妥協しちゃいけないところか?
課長の言うように万が一にも、見つからなかったらどうすんだ?
全体オープンを遅らせる気か?

予算に対してどれだけマイナスが出るか考えてるか?」



「何が何でも探すんですよ!! 絶対に間に合わせます!!
今回は妥協してもいいなんて思ってるなら、霧島さんにはガッカリです」

「よし、言ったな」

霧島さんは美しい顔でにっこりと微笑んだ。

「一旦帰っていいから、荷造りしてこい。2〜3週間は帰れないからそのつもりでな。 俺は課長を説得してくる」


「え!? じゃあ霧島さんも・・」


「誰が妥協なんかするか。何が何でも目玉になるブランド探して、オープンにも間に合わせるぞ」
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