史上最悪!?な彼と溺甘オフィス
そこから想像を絶する地獄の日々が始まった。

家に帰れないどころか、お風呂も2日に1度くらいの有り様でお肌も髪もボロボロ。

ひたすら電話をかけ、アポが取れれば飛んでいく。
合間に広報やら工事業者やらの関係者に頭を下げまくる。


課長は最後まで反対していたけど、霧島さんが何とか言いくるめた。

とは言っても、最悪の事態を避けるため課長は課長で色々動いてくれているみたいだけど。


「・・そうですか。 いえ、急なお願いにも関わらずお時間を作っていただけただけでも有難いです。・・はい、では」


「は〜、リッカもダメか」

手元のリストに大きくバツ印をつけた。
今日何件めかのお断りの電話。

やっぱり無謀だったのかな・・


弱気な考えに支配されそうなって、私はぶんぶんと大きく頭をふった。


「ひでー顔だな」

外回りから戻った霧島さんが私の顔を見て、ぷっと吹き出した。

時刻は夜9時過ぎ。


「霧島さんこそ、疲れてオジサンに見えますよ」


そう憎まれ口を叩いたけど、霧島さんは多少やつれてもやっぱりカッコよかった。 女子社員からは憂いが出てますます素敵なんて言われてる。


メイクで誤魔化してない人はずるいよね。
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