史上最悪!?な彼と溺甘オフィス
「ふぅん。 オジサンにはもうときめかない?」

霧島さんは背後からそっと私の肩に手を回し、顔を近づけた。

心臓がどくんどくんと音を立てる。

「な・・・えっ・・・もともと、ときめいてなんて無い・・・です」


いくら人がいないとは言っても会社でこんな風にされたのは初めてだった。

軽いパニック状態に陥る私を見て、霧島さんは楽しそうに笑う。


「ふっ、可愛いなぁ。誰もいないしキスくらいしてもいいかな・・」

「な、何言って・・・ダメですよ!!」

「少しくらいご褒美くれよ」

霧島さんの整った顔がゆっくり近づいてくる。



霧島さんはズルい。




私が拒めないこと、きっと知ってるんだ。




唇が触れるその瞬間・・・


ーールルル、ルルル、ルルル


電話のベルがけたたましく鳴り響いて、
私は飛び上がるほど驚いた。


「邪魔されたな」


霧島さんはそう言ったけど、この電話は私達にとって最高の吉報だった。


受話器を置いた私は全身がぶるぶると武者震いするのを感じた。



「・・・き、霧島さん。

やりました!!!ロイヤルアダムス、出店OKです!!」


ここが会社なこともすっかり忘れ、泣きながら霧島さんに飛びついた。
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