史上最悪!?な彼と溺甘オフィス
「あれ? もしかして瑠花?」
返ってきたのは霧島さんとは別人の声。
私達のテーブルのすぐ横を通り過ぎたグレーのスーツ姿の男性が振り返ってこちらを見ていた。
穏やかな瞳、柔らかい癖っ毛、人の良さそうな笑顔。
「・・・なんで・・・」
もう二度と会う事はない、会いたくもなかったその人はあの頃とちっとも変わっていなかった。
「知り合いか?」
霧島さんが私にそう問いかけたけど、私は言葉が出てこなかった。
代わりに彼が霧島さんに微笑みかける。
「初めまして、藤堂です。 彼女とは大学時代に同じサークルで。
すっかり綺麗になったと思ったら、こんなかっこいい恋人いるなら当然ですね」
「はぁ」
妙に親しげに話しかけてくる彼に霧島さんは迷惑そうな顔を隠そうともしなかった。
にも関わらず、彼ーー藤堂 康太は今度は私の方に向き直った。
「久しぶりだなぁ、瑠花。 彼氏とデート
? 幸せそうでよかったよ。
俺の方は今日は嫁さんの両親と食事でさ・・・」
本当に変わってない。
悪気はないけど、死ぬ程無神経で空気の読めないところ。
「康太、悪いけど・・・」
内心のイライラをできる限り抑えて、そう切り出そうとしたら霧島さんの鋭い声が重なった。
「久しぶりのデートなんです。 邪魔しないでいただけませんか?」
有無を言わせない強い態度にさすがの康太もすごすごと席を離れていった。
「元カレ?」
彼の後ろ姿を見送りつつ、霧島さんはそう尋ねた。
返ってきたのは霧島さんとは別人の声。
私達のテーブルのすぐ横を通り過ぎたグレーのスーツ姿の男性が振り返ってこちらを見ていた。
穏やかな瞳、柔らかい癖っ毛、人の良さそうな笑顔。
「・・・なんで・・・」
もう二度と会う事はない、会いたくもなかったその人はあの頃とちっとも変わっていなかった。
「知り合いか?」
霧島さんが私にそう問いかけたけど、私は言葉が出てこなかった。
代わりに彼が霧島さんに微笑みかける。
「初めまして、藤堂です。 彼女とは大学時代に同じサークルで。
すっかり綺麗になったと思ったら、こんなかっこいい恋人いるなら当然ですね」
「はぁ」
妙に親しげに話しかけてくる彼に霧島さんは迷惑そうな顔を隠そうともしなかった。
にも関わらず、彼ーー藤堂 康太は今度は私の方に向き直った。
「久しぶりだなぁ、瑠花。 彼氏とデート
? 幸せそうでよかったよ。
俺の方は今日は嫁さんの両親と食事でさ・・・」
本当に変わってない。
悪気はないけど、死ぬ程無神経で空気の読めないところ。
「康太、悪いけど・・・」
内心のイライラをできる限り抑えて、そう切り出そうとしたら霧島さんの鋭い声が重なった。
「久しぶりのデートなんです。 邪魔しないでいただけませんか?」
有無を言わせない強い態度にさすがの康太もすごすごと席を離れていった。
「元カレ?」
彼の後ろ姿を見送りつつ、霧島さんはそう尋ねた。