史上最悪!?な彼と溺甘オフィス
「愛はまやかしか・・・その通りかもな」

霧島さんは薄く笑う。



「いや、えっと・・・」


しまった、これから告白しようって時に何て最悪な流れ。

康太のやつ、ホントに救いようの無い空気の読めなさだわ・・・

奥様が気の毒！！


「食わないの？ ステーキ好きだろ？」


「えっ。 あ、食べます食べます」


完全にタイミングを逃してしまった。

出てくるお料理はどれも美味しかったけど、告白できるような空気は戻ってこないままデザートがきてしまった。



白い器に苺のムースとチョコレートケーキ。ラズベリーとマカロンが添えられていて、とっても美味しそう。


そっと霧島さんの表情を伺うと、何か考え込むような難しい顔をしていた。

そういえば食事中もいつもより言葉少なく、どこか上の空だったような気がする。


「霧島さん？」

「なに？」

「なにか考え事ですか？」

「・・そうだな」

「なに考えてたんですか？」

私は苺のムースを口に運びつつ尋ねてみた。


「お前とプライベートで会うのは今日で最後にしようかなと思って」


霧島さんは何でも無い事のように、まるで明日の天気でも話すかのように、私にとっては残酷なセリフを告げた。


甘いはずの苺ムースの味も全く感じなかった。
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