史上最悪!?な彼と溺甘オフィス
「・・・どうして?」

必死に声を絞り出した。
平静を装いたかったけど、私の声はかすれていた。


「お前は俺とは違うから。 俺はどうしようもない最低男だけど、瑠花はいい女だよ。

さっきの馬鹿男や俺じゃなくて、ちゃんといい男探せ。愛がまやかしかどうかは相手次第だ。本物の愛を教えてくれる男がきっといるよ」


「それならっ。 それなら、霧島さんが教えてください。私、霧島さんが・・・」


霧島さんの寂しそうな顔を見れば分かる。 私の気持ちはきっと受け入れてもらえない。


分かってたけど、わずかな可能性に縋りたかった。


「霧島さんが好きです。 好きになってしまいました」


霧島さんは黙って首を横に振った。


「なんで? 何でダメなんですか!?」


いつだったか霧島さんと言い争っていた綺麗な人を思い出す。
あの時は笑ってたけど、私も同じだ。


惨めでも、

みっともなくても、

この人が、どうしようもなく欲しい。



「俺はまやかしの恋愛しかできないよ。
全部、偽物だ。前にも言ったろ、女は消耗品としか思ってないって」



甘い嘘だってことは最初からわかってた。

それでも、本当の部分もあったって私は自惚れてた。

けど、そう思ってたのは私だけだったんだ。




「ふふっ、やっぱり霧島さんは最低ですね」

私は涙を堪えて、必死に笑顔を作った。

ちっぽけだけど、せめてものプライド。


「まぁな。否定はしないよ」

霧島さんも笑った。



こうして、私と霧島さんは終わった。

身体だけの、遊びの関係にお似合いなチープな結末。

私にとっては大失恋だけど、世の中にはこんな話は星の数ほど転がってるんだろう。


だから、泣くのは今日だけ。
今日だけにしよう。
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