史上最悪!?な彼と溺甘オフィス
「はぁ〜〜〜。 やっと・・・」

「帰れるな」


事務所の時計は深夜1時を指していた。

少し前まで賑やかだった事務所もさすがに人が減り、残ってるのは主担当の霧島さんと私だけだった。


「佐倉は今日ホテル?」

「そうです。 霧島さんは自宅ですか」

「うん、俺はタクシーで帰れる距離だから断った」


今日ばかりは会社持ちで近くのビジネスホテルが用意されていた。
疲れきった身体には非常にありがたい。


「明日は午後出勤でいいんだろ?ゆっくり休めよ」

「もちろん、そのつもりです」



私と霧島さんは帰り支度を済ませ、事務所に鍵をかけた。


ーーープルル、プルル、プルル。


静まりかえった廊下に着信音が響きわたり、私は思わずびくっと身体を震わせた。
夜中の着信音は何だかホラーめいていて怖い。


「佐倉の携帯だな。 まさか、仕事じゃないよな」

「うっ・・」

ホラーよりそっちの可能性のがよっぽど恐怖だわ。

スマホ画面には知らない番号。

やっぱり仕事のトラブルか・・・。


うんざりした気分で応答ボタンを押す。
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