史上最悪!?な彼と溺甘オフィス
「おーい。佐倉さん。大丈夫ですか?」

森口さんが目の前でヒラヒラと手を振る。


「あ、ごめん。ぼーっとしちゃって・・・」

「大丈夫ですかー?
あっ、もしかして佐倉さんほんとに霧島さんと一緒に独立・・・」

「 森口さん、ごめんっ。急用思い出しちゃって、すぐにテラスに戻らなきゃ」


急用なんて、もちろん嘘。
あと30分は勤務時間内だと頭ではわかっていたけど、身体が先に動き出していた。


本社を飛び出して、久しぶりに霧島さんの番号を呼び出す。

一つ下のフロアをのぞいてもいなかったから、おそらく外出のはず。


ールルル、ルルル。




呼び出し音がもどかしい。


「はい、霧島です」

ほんの1ヶ月前までは毎日隣で聞いていた懐かしい声。

「さっ、佐倉です」

「あぁ、久しぶりだ・」

「霧島さん、今どこですか!?」

霧島さんの声にかぶせるように問い掛ける。

「今? 渋谷のS社を出たとこだけど」

「そっち行っていいですか?
会いたいんですっ」

会いたい。


このまま二度と会えないなんて、嫌だよ。


霧島さんに、会いたい。
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