史上最悪!?な彼と溺甘オフィス
エピローグ
「佐倉さーん、じゃなかった。
もう霧島さんでしたね〜」

森口さんが満面の笑みで、妙に大きな声で私を呼ぶ。

「・・・社内では佐倉のままだから」

「あっ、佐倉さん照れてる〜〜。
てゆーか、水くさいですよ。
二人付きあってたんなら教えてくれればよかったのにー」


身体だけの関係だったと正直に話すわけにもいかず、私は曖昧に微笑んだ。


遡ること一月前。

霧島さんと正式にお付き合いすることになって、最初のデートの日。



「 開けてみて」

その言葉とともに霧島さんの長い指が小さな箱を差し出す。

白いテーブルクロスに映える赤い小箱にはゴールドのリボンがかけてあった。



「誕生日はまだ先ですけど・・」

「知ってるよ」

「クリスマスもまだまだですよ?」

「それも知ってる」


そうすると、これは・・・

もしかして、ドラマとかでよく見る・・


私はそっとリボンを解いて、おそるおそる箱を開ける。


「何でもない日にプロポーズしたらまず
いか?」


箱の中にはキラキラと光を反射する大粒のダイヤが輝いていた。
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