史上最悪!?な彼と溺甘オフィス
「それでは、改めまして霧島くん、佐倉さん、結婚おめでとう!!」


課長の声かけで皆が一斉にグラスを傾ける。

今日は夢見ヶ丘テラスに関わったメンバーが打ち上げ兼私達の結婚祝いで集まってくれた。

私は森口さん達女性陣に囲まれていて、霧島さんは遠くで部長のお相手をしていた。


プロポーズからたった一カ月で、霧島さんは私の母への挨拶やら上司への報告やら新居探しやらを段取り良く進め、私達は先週末に入籍と引越しを済ませた。

挙式はさすがにゆっくり準備しようということで、年が明けてからの予定だ。


まだあまり実感が湧かないものの、すごく幸せだった。


うん、幸せ。

幸せなんだけど・・・



「佐倉さん、 ご結婚おめでとう」

爽やかな笑顔で彼女は私に声をかけた。

法務部の嶋さん。
夢見ヶ丘テラスの契約書でとってもお世話になった人。


すごく、すごーく気になってたのに、どうしても霧島さんに聞けなかった。

社内恋愛しない主義って言ってたけど、嶋さんとは付きあってたはず。
しかも私とも関係のあった時期に。

目の前でにこやかに微笑む嶋さんからは怒りも悲しみも感じられない。


うーん、完璧に割り切った大人のお付き合いだったのかな。

それとも、悲しみを隠して笑いかけてくれてるんだろうか。
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