史上最悪!?な彼と溺甘オフィス
「ただいま」

「お帰りなさい、律さん」

仕事を終えて帰宅した俺を穏やかな笑顔
が迎えてくれる。

瑠花が俺の分の食事を温め直してくれる間に、俺はそっと寝室を覗く。


小さなベッドでスヤスヤと寝息を立てる
もう一人の最愛の存在。


「しーちゃんね、今日初めて寝返りに成功したんだよ。いつの間にか成長してるんだなぁって感動しちゃった」

「そっか、 俺も見たかったな。
瑠花は? 今日、何してた?」

「私? いつも通りスーパーに買い物行って、お散歩して・・・あ、人事部からメールがきてたよ。育休どうですかって内容の」

「ふーん。育休中も人事とはやり取りするもんなんだ」


かつては時間の無駄としか思えなかった
女の取り留めのないお喋りも、彼女の口から紡がれるのならば、いつまでだって聞いていたいと思う。

1日の終わりに訪れる、この優しい時間が何よりも俺を癒してくれる。



俺はキッチンに立つ瑠花の後ろ姿をぎゅっと抱きしめた。

「なに?どうしたの?」

くすぐったそうに身体を捩って、瑠花が振り返る。

「うん。瑠花と雫がいて、幸せだなーと思ってさ。 それだけ」

この幸せがどこかへ逃げてしまわぬよう、俺は抱き締める腕により一層の力をこめた。




END
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