史上最悪!?な彼と溺甘オフィス
「ま、面倒くさい女じゃないってのは一番の美点だけど、それだけでもないよ」


「はぁ、他に何が?」

残業に文句言わないとか、接待を嫌がらないとかだろうか。


「感性。 俺と真逆だなって前回のプロジェクトのとき思った」

それって・・・

「霧島さんと違って、センス無いって意味でしょうか」


「センスって言うと俺のが断然あるな。
佐倉はまぁ普通。 けど、センスの良さは俺で十分だから。 劣化コピーは要らない」


すごい自信・・・

ナルシストって言いたいけど、霧島さんの趣味の良さとか情報感度の高さは天性の才能に近いものがあるから何も言えない。

実際、この人が見つけてくるブランドはものすごく売れる。 絶対に外さない。


「佐倉は俺が後回しにしがちなエリア特性とか細かな客層の違いとかを最初に考えるだろ?
それは俺の欠点を補完するものだから、中途半端なセンスより必要なんだ」


「・・・驚きました。 霧島さんの口から俺の欠点なんて単語が出てくるとは」

私は思わずぽかんと口を開けてしまった。

欠点なんて単語は俺の辞書にはないって言っちゃう人だと思ってた。


「優秀な人間は自分の長所も短所も客観的に把握する。だから優秀なんだよ」


「なるほど・・・」


あ、驚きのあまりお礼を言いそびれちゃったな。

褒められたと言えるのかは微妙だけど、仕事で霧島さんに認められた事は素直に嬉しかった。
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